第49章

島宮徳安は一瞬固まった。

これは島宮奈々未が二度目にこのような質問をしたことだった。

前回は五年前のことだ。

島宮奈々未が出産した後、彼女が彼を見て最初に言った言葉は「子どもは?」だった。

島宮徳安はその時の自分の答えをずっと覚えていた。

「死んだ」

その言葉が落ちた瞬間、島宮奈々未の顔が真っ青になり、悲痛に暮れた表情が今でも目に焼き付いている。

そして今、島宮徳安は島宮奈々未を見つめ、唇を震わせながら頷いた。「死んだ」

当時と全く同じ答えだった。

「死んだの」島宮奈々未は呟いた。まるで独り言のようでもあり、誰かに問いかけているようでもあったが、誰に尋ねているのか、彼女自身...

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